グリーン島は、トロピカル・ノース・クイーンズランドのケアンズ沖27kmに位置する、6000年の歴史を持つ美しいサンゴ礁の小島で、グレートバリアリーフ海洋公園内にあります。
ユニークなグレートバリアリーフの島
グリーン島は国立公園に指定されており、約12ヘクタールの広さを持ち、サンゴ礁と熱帯雨林の両方の環境を備えているユニークな島です。グレートバリアリーフにある300以上のサンゴ礁の島の中で、熱帯雨林があるのはグリーン島だけです。
多様な海洋生物
グリーン島の周囲に広がるリーフには、多様な生息環境と海洋生物が存在しています。
  • 浅瀬に広がる海草の群生地は、捕食者から身を守るために草の中に隠れる幼魚から、海草を食べる大型のウミガメやジュゴンまで、幅広い動物の生息地となっています。
  • グリーン島周辺のリーフは浅瀬から始まり、深海へと続いており、190種以上のハードコーラル(造礁サンゴ)と100種以上のソフトコーラル(柔らかいサンゴ)が確認されています。
動植物の多様性
 グリーン島には120種を超える在来植物が生育しており、沿岸植物と熱帯雨林植物が独自に混在しています。海岸線には乾燥に強い沿岸植生が広がっていますが、数メートル内陸に入ると、濃密で日陰のツル植物の茂る熱帯雨林へと植生が一変します。

また、グリーン島には陸鳥、海鳥、そして渡り鳥など、色鮮やかな多くの鳥類が集まります。島では55種以上の鳥が定期的に観察されており、そのうち約15種が島で営巣しています。
歴史ある島
 グリーン島の伝統的な名称は「ウンヤミ(Wunyami)」で、「精霊の場所」という意味があり、グル=グル・ガンガンジ族とイディンジ族のアボリジニの人々にとっての海の国(土地)です。

ヨーロッパ人の入植以前、現地のアボリジニの部族は、グリーン島とそのリーフを漁、狩猟、成人の通過儀礼の場として使用していました。ウンヤミは、先住民にとって過去も現在も深い意味を持つ場所であり、何千年にもわたりこの地域で暮らしてきた人々の文化が息づいています。

今日、多くの訪問者は、この島の名前が緑豊かな熱帯雨林に由来していないことに驚かされます。実際には、1770年にHMSエンデバー号の天文学者、チャールズ・グリーン氏にちなんで名付けられたものです。

HMSエンデバー号は、ジェームズ・クック(当時中尉)によって指揮されたイギリス海軍の探検船で、1768年から1771年にかけてオーストラリアとニュージーランドへの初航海を行いました。1770年6月10日(日曜日)、クック船長はグリーン島を初めて航海図に記録し…「ケープ・グラフトンを回り込んだ後」、彼は「低く緑に覆われた森の島」を目にし、同行していた天文学者チャールズ・グリーンにちなんでこの島を「グリーン島」と名付けました。

グリーン島の驚くべき歴史には、世界初のガラスボトムボート(1937年)や、世界初の常設水中展望室(1954年)など、多くの先駆的な出来事が含まれています。リーフの神秘と豊かな歴史が息づくグリーン島は、グレートバリアリーフの中でも特に重要で特別な存在です。